天才か、狂人か。     ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~


<・・・・・・・。>
<・・・・・。>


サイン交換した相手キャッチャー矢野君・ピッチャー福原君の南邦バッテリー。


セットポジションに入って、
その初球を投げ・・・・!!!?



「なに!!?」
「「「「!!!!?」」」」」



ランナーがスタートしている・・!?
大西くんがスタートしている!!!?


《ストライク!》


球審の判定なんて誰も聞いていない。

相手キャッチャーの矢野君がボールを捕って、すぐさま二塁へ送球・・・・・・・




《セーフ!!!》


「「「「だぁああ!!!!!」」」」
「よしよし!よっしゃぁ!!!!!」


【盗塁】成功!!!!

同点のランナーが二塁へ!・・1点ビハインドの9回2アウトで走った!!!



「相変わらず・・・彼は足が速いですね。」


変態のニチャァ笑みと共に、一塁側スタンドの応援・・ベンチの声量が戻った!!




「・・・・・・・・・・・・・・。」


・・こんな大西くんは初めて見る・・。

二塁に到達して“セーフ”とジャッジが下されても、鬼気迫る表情を一つも変えず、

雄叫びも上げず・・
ベンチに向かってガッツポーズもしない。


バッターの中村くんに向かって、
“ウン”と頷いただけだった。


「「「「いけるぞ中村!!!」」」」



2球目のボール球を冷静に見送って、
3球目の石直球には振り遅れて、

4球目の低めには手を出さず、

これでカウント2ボール2ストライク。


2ストライクと追い込まれたけど・・

右バッターボックスに立つ中村くんの表情から・・その肩から・・力みは消えていた。


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