天才か、狂人か。 ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~
<お嬢さん。
そちらの監督さんに伝えて頂けますかな?
ワシの教え子がルール違反を犯して申し訳なかった。
この子達にはもう一度ちゃんと指導しておくから、この老いぼれに免じて許してほしい。>
「は、はい。伝言お預かりします・・。」
「」
「「せーの・・!」」
引き続き・・ピクリとも動かない大西くんの体を乗せた担架が運び出される。
「大西どん・・!天晴れな気迫・・!」
「カッコ良すぎるでしょ・・
大西先ぱ・・ハックション!」
「スッ・・大西・・お前のおかげで・・
俺達は南邦に勝てたんだぞ・・!?」
「・・スッ・・今日のヒーローは・・
・・スッ・・スッ・・お前だ大西・・!!」
みんなが・・全員で・・・
意識を失う大西くんへ声をかける。
意識は無いのに・・・判定を聞く前に膝打ちを食らって失神したはずなのに・・
自分では【確信】していたのか・・
それとも意識が無いながらも、
【みんなの声】に反応しているのか・・
「」
仰向けに乗せられた担架・・・
その表情は穏やかで・・・
閉じられたその両目からは・・
・・・涙が溢れていた・・・。
《え~球審の白井です。
ただいまのプレーについてご説明します。
二塁ランナー 青愛学園 大西君と南邦高校キャッチャー矢野君とのクロスプレーの際、
守備側の故意的なブロック行為があった事を確認しましたので、
【コリジョンルール】
を適用して判定はセーフ。
二塁ランナー 大西君のホームインを認めて、
[12―11]青愛学園のサヨナラ勝利として、試合を終了致します。》