天才か、狂人か。     ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~


“コンコン”


「理事長、失礼します。」


理事長室の扉を開けると・・


“燃えた・・燃え尽きたよ・・
・・・真っ白にな・・・”

と言霊が聞こえてきそうなほど、

疲労困憊で余計に円形脱毛症が出来ている理事長が、グッタリと椅子に腰掛けていた。


マスコミ対応、保護者説明会、全校集会。

質問攻め、バッシングの嵐。

謝罪のち土下座のち謝罪のち土下座。



「・・・あぁ・・杉下先生・・。」


「申し訳ございません。
山田先生もダメでした。」


「・・あぁ・・三途の川や・・。」


本当にそのままポックリ逝きそうなので、
慌ててその肩を揺する。


「理事長・・さすがにそろそろ野球部を活動再開させないと、

またマスコミから何を書かれるか分かりませんぞ・・。

ただでさえ秋季大会を辞退した事について、

[生徒に罪は無いのに、
何辞退させとるんじゃゴラァ]

と猛バッシングを浴びたのに・・。」


「杉下先生・・でもダメでしょう・・。

顧問がいない生徒だけの状態で活動させて、
生徒が怪我でもしたら本末転倒です・・。」


「かくなる上は私が監督になります。」


「でも杉下先生って・・
サッカー派でしょう・・?」


「確かに野球はあまり好きじゃないですけど、でも誰もいないよりは・・。」


「・・・・・・・・・・・・・。」


「・・?どうしました?」


理事長が私の手に持っていた紙を・・

フラれ続けて全てに“×”が付いた次期顧問候補リストを見つめる。

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