天才か、狂人か。 ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~
第19話
前編
第19話
立ちはだかる、絶対王者
教頭 杉下先生
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1回戦が始まった時、
我が学園スクールバスの出動は3台だった。
野球部員を乗せる1台。
吹奏楽部員を乗せる2台。
2回戦、3回戦、4回戦、準々決勝。
我が学園野球部の快進撃に比例して、
スクールバスの台数も増えていった。
“俺も・私も見に行きたい”
1回戦ではチラホラしか観戦に来ていなかった在学生の声が多くなっていく。
準決勝を終えた後、我が学園スクールバスだけでは回せなくなったので、
バス会社に連絡を取って、
[大型バス]を何台もチャーターした。
「・・・すごい・・・。」
隣に座る3年生マネージャーのアリサさんが呟いた。
迎えた今日・・・決勝戦。
こちらから強制することなく、
我が学園に通う全校生徒のほとんどが大型バスに乗り込んだ。
埋め尽くされた三塁側スタンド。メガホンを叩く音量が今までと明らかに違う。
吹奏楽部員の気合いがまた一段と上がる。
“顧問の暴行事件”から約1年。
今・・・問題があった野球部は・・
世間にバッシングを受けた我が学園は・・
生徒からも失望された野球部は・・
全校生徒の“希望の光”となって、
今日、集大成を迎える。