天才か、狂人か。 ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~
「・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
な、なんだ・・・?
理事長がいつものフニャフニャではなく、
ピシッとしている。
マッドサイエンティストは相変わらずの笑みを浮かべているようだけど・・。
「阿部先生、どうしたんですか?」
「理事長からの振り込みは確認しました。約束通り、報酬を頂きありがとうございました。」
「・・・・・・・!?」
成功報酬一千万のお礼が述べられた後で・・阿部先生が封筒を取り出した・・・。
【退職願い】
そこに書かれた文字を見て・・・
・・言葉を失う・・・。
「ど、どういう事ですか阿部先生・・?」
「僕にはもう時間がありません。」
「時間・・・・?」
「それに、僕はあなた方と[野球部を全国大会に出場させる]と約束しましたが、
[全国大会で勝利する]
とは言っていません。
僕の役目は、県大会で終えました。」
「ちょ・・ちょっと待った!
・・・・甲子園は・・・?」
「教頭。あなたが監督としてベンチに入ってください。」
「!?」
「ご安心ください。
あなたもご存知の通り、
試合中の采配は中村君や龍君が執ります。
県大会もほとんど彼らに任せましたから。
あなたはただ、
ベンチの隅に座っていればいい。」
「いやしかし・・・・・・・・。」
「杉下先生・・。
阿部君の決意は固いようです。」
甲子園を目前に・・監督が辞任・・!?
「甲子園大会が終わった後は・・
あなたが春に採用した、
“野球部顧問を引き受けてくれそうな先生”にお願いしたらいかがですか?
部員の彼らの為にも、“素人”が首を突っ込むのは終わりにしてあげてください。」