天才か、狂人か。 ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~
「阿部先生・・聞いてますか!?」
我が学園に通う生徒に、
問題児は誰一人としていない。
だから・・我が学園におけるNo.1問題児と言ってもいい。
前 野球部顧問の問題についてマスコミに追及される中、
この男の存在を隠し通せたのは不幸中の幸いと言ってもいい。
「・・教頭、いつの間に居たんですか?
危ないので部屋に入る前は必ずノックしてください。」
「!!!」
【化学教師 阿部】
の正面にドカッと座る。
・・この男が我が学園にやって来たのは5年前・・。
大学院を卒業後、どこかの研究施設に長年勤めていた科学者だったらしいけど、
“母親の介護”という理由で、
より給与が高く、融通が利く私立教員に電撃転職したらしい・・
こっちからすると・・はた迷惑な経歴を持つ異色の教師だった。
「阿部先生。
もうこれで50回目ぐらいに言いますが、
ここは実験施設ではなく学校なんですからね・・?
妙なボヤ騒ぎはやめて頂きたい。」
科学の業界?・・向こうの世界では【天才】と呼ばれていたらしい。
だけどそれは白衣を着た集団の中の話であって、
教育界・・こっちの世界から言わせてもらえば・・
「教頭。」
「・・・?」
「僕に何か用ですか?」
“あんたが火災報知器で私を呼び出したんだがや!!”とツッコミ・・
「あんたが火災報知器で私を呼び出したんだがや!!」
今度は我慢できず・・
目の前に座る【狂人】に唾を飛ばした。