天才か、狂人か。     ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~


「じゃあ何でもっと早く教えてくれなかったんスか!?」


「“一切の口出しはしない”
と君達と約束していたからです。」


「いやそうスけど・・!」


「野球素人の僕でも気付いたんだ。

私学4強と謳われている享令高校の部員がすぐに気付くのも当たり前です。

現に、先日の試合では1回裏に4失点。
2回裏に17失点。

3回裏は一つもアウトが取れていない状態で12失点した所で、

計30点を越えて試合終了。

享令高校の部員が途中から君の癖に気付いたと考えるのが自然でしょう?」


「じゃあ・・・俺の球がしょぼかったわけじゃないって事スか!?」


「そんな事は野球素人の僕の知ったことじゃない。」


「あ・・・何かすんませんス・・。」


「今日からマネージャーのサポートを活用して、自分の姿を客観的に捉え、

その癖を直しなさい。」


「・・・はい・・!」





最後にもう一度みんなを見回して質問がないか尋ねて・・

“以上です”と阿部先生がミーティング終了を告げた時、ふと・・時計に視線が動いた。


「・・・・・ミク?行こっ。」


「・・・あ・・うん!」


みんなに続いてアリサと後輩マネちゃんと化学室を出る。


正確に時間を覚えていたわけじゃないけど、

変態が最初に練習時間等が記載されたプリントを配り始めてから“今”迄・・


まるで初めから計算されていたかのように、

[約50分]で終わったミーティングに・・気持ち悪さとは別の意味で鳥肌が立った。







第5話 完














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