天才か、狂人か。 ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~
「・・・・教頭。」
「はい・・。」
「参考までにお伺いしますが、
あなたが“我が学園サッカー部の顧問”をやっていた時はどうだったんですか?」
「・・・・・・・・・・・。」
「今日のこの雨量で、あなたは中止か続行かどちらを選んでいましたか?」
「・・・・・続行です。
“これしきの雨でべらんめぇ!”
と言っていたと思います。」
「寒い冷たい風邪引く。・・つくづく僕は“スポーツ”の事が嫌いになっていく。」
「ムハハ!さすがの阿部先生も参っているようですなぁ。」
「天候も含めた“条件”が揃わなかったら実験は中止する。
科学者にとっては当たり前です。」
どんよりとした雲。降り続く雨。
それに打たれる野球部員の子達の姿は・・
とても眩しかった。
私も・・雨にも負けず風にも負けず、
我が学園サッカー部を指導していたあの頃を思い出した。
“見た目”なんて気にしないで、
“かっこ良さ”なんて度外視で、
一生懸命泥だらけになる彼らが・・
「・・輝いて見えますな、阿部先生。」
「全く見えません。
教頭、眼科に行ってきたらどうですか?」
相変わらずこのマッドサイエンティストは・・青春の“せ”の字も分からない男のようだ。