天才か、狂人か。 ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~
――――――
“コンコン”
“ガチャリ”
「・・・あ、あの~・・。
いやね別にいいんだけど、
最近・・君たち“理事長室”の事、
“休憩室”だと思ってます?」
今日の練習が終わって、
阿部先生と一緒に休憩しに来た理事長室。
ストーブに当たりながら、マッドサイエンティストがカッパをバサァと脱いで、
滴が机の上に飛び散って、
“ちょちょちょ!
大事な書類なのに~!”
と理事長が慌ててふためきながら片付ける。
「そうだ阿部先生。
今、私が呼んでいる“野球入門”の本、
読み終わったら貸してあげましょうか?」
「・・・・・・・・・・・・。」
「素人同士・・
来年夏の大会に向けて、
少しでも“野球”を学んで、
あの子達へ何か・・・。」
「・・・僕は結構ですよ教頭。」
「いやしかし・・・。」
「一通りの規約や用語は頭に入れました。
これ以上、踏み込むつもりはありません。
“戦術”だの“作戦”だの細かいところまで頭に入れる暇があるぐらいなら、
[タイムふろしき]の開発や、
[もしもボックス]の実現性検証に時間を割いたほうがまだ良い。」