天才か、狂人か。     ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~


―――――― 


“コンコン”
“ガチャリ”


「・・・あ、あの~・・。
いやね別にいいんだけど、

最近・・君たち“理事長室”の事、
“休憩室”だと思ってます?」


今日の練習が終わって、
阿部先生と一緒に休憩しに来た理事長室。


ストーブに当たりながら、マッドサイエンティストがカッパをバサァと脱いで、

滴が机の上に飛び散って、

“ちょちょちょ!
大事な書類なのに~!”

と理事長が慌ててふためきながら片付ける。



「そうだ阿部先生。

今、私が呼んでいる“野球入門”の本、
読み終わったら貸してあげましょうか?」


「・・・・・・・・・・・・。」


「素人同士・・
来年夏の大会に向けて、

少しでも“野球”を学んで、
あの子達へ何か・・・。」


「・・・僕は結構ですよ教頭。」


「いやしかし・・・。」


「一通りの規約や用語は頭に入れました。
これ以上、踏み込むつもりはありません。

“戦術”だの“作戦”だの細かいところまで頭に入れる暇があるぐらいなら、

[タイムふろしき]の開発や、

[もしもボックス]の実現性検証に時間を割いたほうがまだ良い。」


< 83 / 399 >

この作品をシェア

pagetop