天才か、狂人か。 ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~
ストーブに当たって体を温めた阿部先生が・・
理事長が飲んでいた湯飲みの中身を流し台に捨てて、そこに新しくお茶を淹れる。
“新しい湯飲みあるんだから、
それ使ってくださいよ~”
と慌てふためく理事長を横目に・・
「では阿部先生はこのまま来年夏まで、
練習方法も含めた技術指導については、
ノータッチでいくんですか?」
「・・・・ご安心ください。その点については僕に考えがあります。」
「・・・?」
「さて・・・では理事長、教頭。
僕からあなた方へ新たな要求です。」
「もう私も杉下先生もお金無いですよ~。」
「要求とは一体・・?」
「【ドア・イン・ザ・フェイス】
という言葉を聞いた事ありますか?」
「ドア・・?」
「インザフェイス・・?」
「野球部員達を来週から来年6月まで[海外合宿]へ連れ出してもいいですか?」
「え!?」
「は!!?」
「部員達には毎回30分のランニングを課しているので体力は付いてくるでしょう。
ですが今僕が懸念しているのは、
[夏の暑さ対策]です。
彼らにとっての“本番”は、
今と違って灼熱の環境下。
“今できる”事が、
“夏にできる”保証はどこにも無い。」
「「・・・・・・。」」