天才か、狂人か。     ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~


“奇跡の世代”
って言うと大袈裟だけど、

ウチら2年生の代には、とっても上手くて個性豊かな部員が揃っていました。


今私の隣でまた漫画を読み出した・・

1年生の頃からレギュラーを任されている不動の3番サード 龍ちゃん。


ベスト16の立役者となった、

多彩な変化球を操る、
2年生エースの憲伸くん。


その女房役・・キャッチャーで新チームのキャプテンとなった、責任感強い中村くん。


快足が持ち味のセンター 大西くん。

鉄壁の守備を誇るショート 久慈くん。
代打の切り札 渡辺くん。


そして・・・龍ちゃんと同じ・・

1年生の時から4番バッターを任されていた立浪くん・・。



とにかく、来年・・
ウチらにとって最後の夏。


“ガチで甲子園出場を目指す”


・・先輩達から託されて・・
みんなの合言葉となりました。


だから活動休止してる場合じゃないのに・・


根性論と精神論ばっかり説いて、
行き当たりばったりの作戦で、

先輩や龍ちゃんたちの底力で勝てたのに、
自分を“名将”と勘違いして、

正直・・部員全員から良く思われてなかった江藤先生が居なくなったのに・・


学校は、秋季大会の辞退だけに留まらず、まだ練習すら許可を出してくれませんでした。


だから絶賛・・・
みんなの士気は下がってる・・。


龍ちゃんに至ってはバッティングセンターにも行かずランニングもしないで・・

ずっとこうして・・・


「ミク。」


「うん?」


「久しぶりにキャッチボールでもするか?」


「ホント!?行こ行・・・。」


「ミクが一発ヤらせてくたらな。」


「死ね!!」


「あ痛っ!」


今日も私に殴られている・・・。
























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