天才か、狂人か。     ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~


「・・・・・憲伸君。」


「あ、はいス。」


「当事者の君の意見も聞いておきましょう。
【ピッチャーの駒】は足りていますか?」


「・・・・・・・・・・・。」


「来年夏、1回戦から決勝戦まで。

例えどんな事態に陥ろうとも、全試合9回まで君が投げ抜く事は可能ですか?」


「俺はそのつもりでスけど・・?」


「僕は野球の事は知らない。
だから科学者の目線として言いましょう。

ピッチャーが行う“投球動作”を1試合9回×3アウトも繰り返していたら、

君の肩はいずれ壊れます。」


「・・・でも変態監督さん。

俺以外の控え投手で言うと、試合で通用しそうなのは1年の正津だけっスよ?」


「であれば、毎試合2人で【分担】して頂きましょうか?」


「・・分担・・・・?」



「僕の理想論を言えば、
ピッチャーは3人必要です。

そうすれば【1人3回ずつ】に分担できる。

しかし残念ながら今のチームには憲伸君と正津君しかいませんので、

2月末からの練習試合は、

1回~4回 正津君、
5回~9回 憲伸君で分担してください。」


「・・俺は途中からの登板スか・・。」


「先発ではなく中継ぎでは“調整が難しい”と言うなら、

練習試合を通して“難しくない”と言えるようになりなさい。」


「・・・・うぃっス。」


< 99 / 399 >

この作品をシェア

pagetop