35cmの音
俺は今日、

咲那の部屋を飛び出し

“大人たち”に呼ばれた場所へ向かった。

多分、君と出会ってなければ

ずっと逃げたままだった。

一人でここまでこれなかった。

咲那と初めて会った日に言っていた、



“約束は破るためにあるんだよ”



その言葉が浮かんだ。

「破るためにある、か...」

俺には出来ないと思っていた。

「どうするつもりだ?」

夢を追いかける権利も勇気も
そんなものどこにもないと
信じて疑わずに生きてきた。
< 125 / 938 >

この作品をシェア

pagetop