35cmの音
「あーもう。コホンっ、
咲那のばーちゃん、まだ結婚も
してないのにごめんなさい。」

観念したのか、謝り始めた

「まだ?笑」

手を合わせて目を閉じる

「これからは俺が守る、いや...
ちゃんとお世話するので
どうぞ安らかにお眠りください。」

お世話?笑

「だってよ!」

男らしいなぁ

おばぁちゃん聞いてるかな?

「それと、咲那を産んでくれて
ありがとうございます。感謝します」

それはきっと、

母親に対しての言葉だ。

「...母親は、別に関係ないから、」

あの人に何思われたって関係ない。

生前でさえ一度も話したことなかったし

だから私はお墓の前で祈ることも

話しかけることも一度もしなかった。
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