35cmの音
「でも百合の花は傷付きやすくて
折れやすいんだ。だから価値がある」

弱かった母親にまさにピッタリの花だな。

「へぇ ...」

母親にとっては価値のある“花”

「そんな“花”がたくさん咲いていた。
咲那を産んで顔を見たときに
きっと、そう思ったんだろうな。」

「...そうかな?」

「スゲー良い名前。お母さんにとって、
それだけ価値のある存在だったんだよ。」

そんな事、

考えたこともなかった。

「ふーん」

「さ、帰ろう!お腹すいた?」

「空いた!」
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