35cmの音

舞音くんが私にボロボロになった
その手紙を見せてくれた。

玲音が子役をしていたのは、
本音も言えず居場所のない
一人で家にいるお母さんの為で、

テレビで玲音を見ている時だけは
お母さんが笑顔になれたから。

その姿を見て舞音くんも
俳優を目指したと教えてくれた。

だけど、お父さんは玲音が子役を
している事を良く思ってはいなかった。

“お前はこの家の跡取りだから”

だから、子役になれなかった舞音くんにも

“なんでお前には才能がないんだ”

そう責めて、次第に劣等感が生まれ
気持ちの行き場のない舞音くんは
玲音を責めて傷つけてしまったと話してくれた

「玲音は小さい頃からお父さんの会社なんて
継ぎたくないって僕に言ってたくせに」

舞音くんが涙を流した

「大丈夫?」
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