35cmの音
「だから俺も、親には頼らず
ちゃんと自分で稼いで、咲那を...
立派な人間になろうって決めたんだ。」

親やばーちゃんのお金で咲那を
幸せにするのは違うと思ったから。

「へーアンタにそんな事
言わせるなんてすごい子だね」

いつまでも夢も追いかけず、
会社を継ぐ訳でもなく
ただ逃げているだけの俺のまま

「うん。咲那がいたから頑張れたんだ俺」

咲那に想いを伝えることは出来なかった。

「でもそんな良い子を待たせちゃいけない。」

じーちゃんはばーちゃんを待っていた

ずっとずっとずっと待っていた

だけど、病気で早くに亡くなった。

ばーちゃんはそれをずっと後悔していた。
< 372 / 938 >

この作品をシェア

pagetop