35cmの音
「ちゃんと分かってる。」

成功するかも分からないのに
自分で稼ぐようになるまでは
待ってて欲しいなんて言えなかった。

「言わなかったんだね。」

失敗して俺のせいで
咲那まで不幸にしたくなかった。

「うん」

俺が好きだと言えば
待たせることになるから

最後まで言えなかった。

「アンタもまだまだガキだねー。はは!」

「ばーちゃんひでーな」

「いつか迎えに行っておやり」

「そのつもり」

「まぁ、そんな良い子なら
誰かに取られるだろうね~」

「もう、ばーちゃん!」

それは痛いほど分かってるから!
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