35cmの音
「で、どーよ最近」

玲音が尋ねた

「お陰様で。そっちは」

「ご心配なく。家族はいかがお過ごしで」

「父さんは跡継ぎ問題で大忙し」

「なるほど。」

「母さんは可愛い息子たちを毎日テレビで
見てはニヤニヤが止まらないご様子。」

「なにより。」

「咲那ちゃんはずっと待ってるそうです」

「....泣いてましたか」

玲音の事を話す時は、

「いえ全く。」

とても嬉しそうで、

「何それちょっと凹む」

まるで、花が咲いたような

「すごい幸せそうだったよ」

無邪気な笑顔で笑っていた。

「へっ!そーかよ。」

誰かをそんな笑顔にできる玲音が
羨ましくなって少しだけ意地悪した。
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