35cmの音
“俺のことを知らない誰か”

「玲音」

そんな人なら誰でも良かった。

「れ、お?すみません、お知り合いでしたっけ?」

君も周りと同じように

「...なんとなく、」

通り過ぎていくと思った

「えっ?」

女は軽く見られる事を嫌うから

「君の事、知らないけど声かけた。」

普通はここで無視して歩きだすんだろう




だけど、違った。




そいつは嬉しそうに

「あのー。それって、もしかして
ナンパ....ってやつですかっ??」

俺の所へ駆け寄りそう言った。

純粋なのか、変わり者なのか、

初対面のくせにやたらと馴れ馴れしくて。

俺にむやみに微笑みかける君
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