35cmの音
足をみると裸足だった

裸足で走ったのか血が出ていた。

「怖かったね、もう大丈夫だよ」

お姫様だっこして

自分のほうにサナちゃんの身体を向け

密着させて通行人や周りに、

はだけた浴衣が見えないようにした。


「ありがとう...」



泣き止むことができず

必死に涙を堪えようとしても

また溢れている。


「これで隠してて。」



キャップで顔を隠すように渡したけど

サナちゃんは僕の首に顔を埋めた

「...怖かった」

抑えてたものが一気に溢れ

「うん、もう大丈夫だよ」

安心したように、

「うん...」



「泣いていいから」

さっきよりも泣いていた。
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