35cmの音
俺は咲那と最後に会話した日のことを
ふと、思い出していた。

「名前勝ち、か。なるほどな」

“玲音は玲音らしく
いてくれたらそれでいい”

“何にも負けないで”

“だから大丈夫!自信持っていいさ”

咲那はすごい。


咲那がその言葉を言うだけで
俺はいつだって強くいられた。

あの頃の言葉が今も胸に響く



「いってきます咲那。」



いってらっしゃいの声は聞こえないけど

咲那の顔が浮かんでは、



俺の背中を押した。
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