35cmの音
こんなに人で溢れているのに
誰もこっちを見やしない

そんな世界に疲れて
立ち止まり俯いた

こんなに寒い雪の日なのに
僕の足元には一輪の花が咲いていた

小さいくせに立派に咲いていて
それを見てると笑顔が溢れた

もう枯れ落ちたいと願う君を
僕はそっと持ち帰った

その言葉とは裏腹に
君は大きな笑顔を咲かせた

君の育つ音が恋しくて
たくさんの愛を奏でた

そうしているうちに
いつの間にか
弱虫を忘れた僕だった

大きくて綺麗な花が
そこにあったから
僕は強くなれた

もう花瓶に花は無いけれど
君との想い出はここに詰まってる

そんな花を今日も大事に
そっと本に挟み
僕は一人歩いてく
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