35cmの音
「優しい声だったから...ダメだ。」

そんなの当然じゃない。

「黙ってよ」

だってそれは、
私のお腹の中に宿る貴女にかけた言葉だから。

「優しい人だから死んで欲しくない。」

こんな私みたいな人間が育てても
この子はきっと幸せにはなれない。

だから、大切だからこそ
この世に産まれてこないほうが幸せだと思った。

だけど、あなたを1人にはしたくない

「...邪魔、しないでよ、もう」

だから私も一緒に。そう決めたの

「こっちに戻ってきて」

手を差し出す少年。



そう決めたのに、

なんで私は躊躇しているの?
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