35cmの音
「で、ここで監視されてると?」

少年が私の個室で笑う

「はー。出産まで入院だなんて...」

妊娠して更に体調も悪いし、

何より

“精神的に”

入院の理由はそこ。

そりゃそうだよね...
あんなことしたんだし。

「退院する時は“2人で”だから耐えようよ
家に帰れば毎日笑って過ごせるんだから」

“2人”

お腹の赤ちゃんと私。

「君ってさ、何歳なの?」

なんで私こんな少年に支えられてるの

「13歳。だから中1かな?」

嘘でしょう?

「かな?」

私も、もっとしっかりしなきゃ!

「入学式すら行けなかったし!笑」

辛いはずなのに笑ってる。

「強いんだね君。」

ずっと入院してると言っていた

「貴女は年上のくせに弱いですね。」

「うるさいなー。もうっ」

私の病室に毎日来ては

「はは!また明日も来ます」

くだらない話を沢山して笑い合った。

笑う度に、会話が増えるごとに

お腹もだんだん大きくなって

私の胸は希望で溢れていた。
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