35cmの音
「百合。」

私のベットの脇に座る

「お母さん!どうしたの?」

仕事は?

「あのね、落ち着いて聞いてね」

「???うん、何?」

お母さんが重い口を開いた

「...悪性腫瘍?」

それって、

「ガン...が見つかってね。」

私の体から?

「私、こんなに元気なのに?」

お母さんの弱い姿や泣く所を

「若いから進行も早くてね、」

一度も見たことがない。

「じゃあ、手術するの?」

母はとても強くて、誰よりも優しかった。

「うん。それで、その...」

そんなお母さんだから顔を見れば分かる。

きっと、どちらかを
選択しなくちゃいけないんだ。


私か赤ちゃんか。
< 830 / 938 >

この作品をシェア

pagetop