35cmの音
咲那へ

今日は咲那が産まれた日。

だから、どうしても伝えたくて
この手紙を書きます。

本当は沢山書きたかったけど、
分厚い本になりそうなので
お手紙にしました。

あなたは大きな声で泣いて
そして私の胸ですやすや眠ったの。

その顔を見ていると、
私の目に入る全ての景色が
ぱーっと明るくなってまるで
沢山の花が咲いているようだった。

こんな気持ち初めてで、
痛みも苦しみも悲しみも全て無くなった。

咲那が私の世界を変えてくれたんだよ

だから、あなたのせいなんかじゃないの
あなたのおかげで私は幸せだったから
そんな風に、どうか自分を責めないでいてね。

咲那の那は「たくさんの」「多くの」
「美しい」って意味がある言葉。

咲は「花が咲く」に使われる言葉。
そして「笑う」って意味でもあるんだよ。

私の世界にたくさんの花が咲いて、
美しく笑うあなたがそこにいた。

あなたにピッタリな名前だと思ったの。

だから、この名前も、貴女も
私の一生の宝物です。

命を懸けてでも貴女を産みたかった。

貴女と出会えて本当に幸せです。
産まれてきてくれてありがとう。

もし、辛いことや悲しい事があった時は、
名前の意味を思い出してみて。

いつも、私が見守っているからね。

きっと大丈夫よ、咲那。

名前のように、
“たくさん笑って”生きてね。 百合
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