35cmの音
「ねぇ、少年!
私のお願い聞いてくれない?」

「これを俺が?」

私は封筒を渡した。

「咲那にこれを渡して欲しい。」

「自分で渡せばいいさ!
俺に託さなくても、自分で渡せば...」

ごめんね。私じゃ駄目なんだ

「大人になったら渡して欲しい」

咲那が私のいない意味を
理解できる歳になった頃に。

私が死んだ事を
自分のせいだと責めないように。

「こんな大切な物...俺には...無理だよ、」

あと20年後の世界。

私がいなくなる世界で、
私のお母さんが健康で元気に、
生きている保証はない。

「何言ってるの少年!私より
年下なんだから君のほうが
少しは長生きするでしょう!笑」

君ならきっと生き抜いてくれる。
私の分まで大人になれる

そして咲那を...どうか。
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