35cmの音
「でも...」

俺はちゃんと渡せるのか
生き抜いていけるのか
未来の心配ばかりしながら

今日産まれたばかりの
その子をじっと見つめた。

「ふふ。この子はさ、
どんな大人になるんだろうね」

愛おしくてたまらない!
と言うような、そんな顔。

「きっと、明るく元気な子になるよ」

「色んな世界を見せたかったなぁ... 」

「俺が見せる!沢山見せてあげる!!」

だからそんな顔しないで。

「ふふ、頼もしいなぁ少年」

2人とも笑って生きて欲しい。

「わ!握った!」

俺の指をぎゅっと握る
とても小さな赤ちゃん

「へへ!可愛いでしょ?
絶対私に似て美人になるよ!」

「び、美人?!どこがー!!」

照れ臭くて認められなかった。
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