35cmの音
(高1の春)

バイトを始めたいとおばぁちゃんに
言ったらすぐに却下された。

何度も説得し、どうしてもと言うのならと
おばぁちゃんの知り合いのお店で
バイトをさせてもらうことになった。

だけど...

「あの、お給料のことなんですが...」

「どうしたの?足りない?」

マキさんが心配そうに尋ねる

「いえ!あの、多すぎませんか?」

明らかに皆よりも多いし、

「いいのよ!サナちゃんは
よく働いてくれてるから。
おばあちゃんの事もあるし気にしないで」

時給に換算したらありえない額。

「いえ、でも...」

額が明らかにおかしい!!

マキさんとおばぁちゃんって、
どんな関係なんだろう?

物心ついた時から、ここの常連だったけど...

だから私も小さい頃からこのお店へ
よく連れられご飯を食べにきていた。

店長もマキさんも親戚のような存在

「気にしないの!さーさー働く!」

私はその恩返しがしたくて
誰よりも必死に働いた。
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