35cmの音
君が産まれた日

あの日の百合は、とても幸せそうだった。

元気に産声を上げた君を見た瞬間、

あまりにも嬉しくて感動して
2人で大泣きして笑った。

君を見つめる顔はとても美しくて
初めて見るその表情が嬉しくて、
君と百合の写真を沢山撮った。

そして、
君が産まれてからの日々は
どんなに辛くて苦しい時も
君の写真を大事そうに見つめては
いつも笑顔を絶やさなかった。

そして、亡くなる日まで自分のことよりも

“あの子は今日も笑顔で過ごせたのかな?”

君の事を心配して、

“咲那が明日も幸せな日でありますように。”

ただひたすらに想い続けた。

最後に言った言葉は、



“咲那が産まれてきてくれて
私の人生はとても幸せだった”




そう言って安らかな顔で笑ってた。
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