35cmの音
「...独特な味って褒めてなくない?」

だめだ、えーっと?笑

「いや、ほら!あ!え!美味しい」

私は一気に平らげた。

「サナが元気出るかなぁって...」

シュンとしちゃった!!

「いや、大丈夫!全然美味しいよ!
ありがとうね舞音!嬉しいっ」

でも、本当に。

不器用な舞音が一生懸命作ってくれた
その気持ちが嬉しいよ。

「...咲那?」

舞音の気持ちが伝わり

「舞音、ほんとに、いつ...も、」

涙が溢れる。

「あれ?泣くほど美味しかったんだね」

舞音はそう言って立ち上がり私を抱き締めた

「ん、そう。ただ、それだ...け、」

私のことを心配してきたのも分かってる
休みなんて嘘なのも分かってる

私に悟られないように
わざとゴロゴロして退屈で暇なフリをするのも

舞音の優しさは...何もかも。

「落ち着いた?」

もう駄目なんだ

「うん!もう大丈夫だよ」

舞音に甘えてばかりじゃ。

ちゃんと...一人で頑張るって決めたから。
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