あの日の恋は、なかったことにして
「櫻井さーん、今日なんか会議ありましたっけ?」
私の隣の席は、櫻井というひょろりとした体型の若い男。
青白くて、メガネの半分は前髪で隠れている。
デスクの傍らにはエナジードリンク。
なんていうか、ザ・草食。
「……」
彼はこっちをちらりとも見ず、無言でホワイトボードを指差す。
「幹部連中のWEB会議? じゃ、うちら出番ないなー」
「……」
この男、キーボードを叩く速度はものすごいが、とにかく愛想がない。
コンサル会社というコミュニケーション能力が必須の会社において、致命的な欠陥である。
「櫻井さんの声、聞きたいなー。ねーねー、お話しましょうよー?」
「うるさい」
声がしたのは、隣からではない。
パソコンを挟んだ向かい側から、そのトゲトゲしい声は飛んできた。
向かいの席は、小柳という女性社員。
お局風の見た目だが、年は私よりもたった2つだけ上である。
この方、とにかく口が悪い。
「で?」
「は?」
「意味わかんない。ちゃんとした日本語で会話して」
何か聞くたびにそんな返事しかこないから、さすがの私もへこむ。
私の隣の席は、櫻井というひょろりとした体型の若い男。
青白くて、メガネの半分は前髪で隠れている。
デスクの傍らにはエナジードリンク。
なんていうか、ザ・草食。
「……」
彼はこっちをちらりとも見ず、無言でホワイトボードを指差す。
「幹部連中のWEB会議? じゃ、うちら出番ないなー」
「……」
この男、キーボードを叩く速度はものすごいが、とにかく愛想がない。
コンサル会社というコミュニケーション能力が必須の会社において、致命的な欠陥である。
「櫻井さんの声、聞きたいなー。ねーねー、お話しましょうよー?」
「うるさい」
声がしたのは、隣からではない。
パソコンを挟んだ向かい側から、そのトゲトゲしい声は飛んできた。
向かいの席は、小柳という女性社員。
お局風の見た目だが、年は私よりもたった2つだけ上である。
この方、とにかく口が悪い。
「で?」
「は?」
「意味わかんない。ちゃんとした日本語で会話して」
何か聞くたびにそんな返事しかこないから、さすがの私もへこむ。