あの日の恋は、なかったことにして
夜の7時をまわり、だいぶ空席も目立ってきた。
フレックスタイムの人たちはこれからがゴールデンタイムのようだけれど、日勤だと明日のコンディションを整えるためにあまり遅くまでは残らないようだ。
「区切りのいいところまで終わったら、私も帰るかぁ」
椅子に座ったまま背伸びをしたら、後ろに立っていた人のお腹にぽすんと頭をぶつけてしまった。
小暮ディレクターの巨体が、テイクアウトの紙袋を持って背後にそびえ立っている。
手にしていたのがコーヒーとかじゃなくてよかった。頭にぶちまけられたら悲惨なことになっていた。
「おう島本、ちょっといいか」
「なんですかぁ? 今日は真面目にやってましたよ」
「明日は槍が降りそうだなぁ」
小柳さんの言っていた槍ネタは、小暮ディレクターが発信源か。
「これから俺、飯なんだ。ちょっと付き合え」
「やですよ。そろそろ帰ろうと思っていたのに」
「そんなこと言っていいのか? 社長から、ご褒美とやらを預かってきたんだが」
「ほんとですかっ!」
フレックスタイムの人たちはこれからがゴールデンタイムのようだけれど、日勤だと明日のコンディションを整えるためにあまり遅くまでは残らないようだ。
「区切りのいいところまで終わったら、私も帰るかぁ」
椅子に座ったまま背伸びをしたら、後ろに立っていた人のお腹にぽすんと頭をぶつけてしまった。
小暮ディレクターの巨体が、テイクアウトの紙袋を持って背後にそびえ立っている。
手にしていたのがコーヒーとかじゃなくてよかった。頭にぶちまけられたら悲惨なことになっていた。
「おう島本、ちょっといいか」
「なんですかぁ? 今日は真面目にやってましたよ」
「明日は槍が降りそうだなぁ」
小柳さんの言っていた槍ネタは、小暮ディレクターが発信源か。
「これから俺、飯なんだ。ちょっと付き合え」
「やですよ。そろそろ帰ろうと思っていたのに」
「そんなこと言っていいのか? 社長から、ご褒美とやらを預かってきたんだが」
「ほんとですかっ!」