あの日の恋は、なかったことにして
【エピローグ】
「ねぇすず、このダンボールは寝室に運べばいいの?」
「うん。クローゼットの中に入れておいて」
「りょーかいっ!」
3日前まで雨が降っていて天気が心配だったけれど、新居への引っ越しの今日は、みごとに晴天。
窓を開けると、心地よい風が部屋に入ってくる。
今までみたいに隣の人から覗かれる心配がない、敷地の広い一軒家。
緑もある住宅街だけれど、吉祥寺駅まで徒歩10分という好立地で、これこそ夢見ていた東京ライフだ。
「これからふたりの生活が始まるね」
キッチンの片づけをしていた私に、背後から猪狩くんが抱きついてきた。
私服になると、とたんに学生みたいに幼くなる。
甘えたがりだし、これで私よりも4つも年上だなんて信じられない。
「べつに、一緒に暮らすわけじゃないでしょ」
「えー、俺、ここに住み込むつもりだけど」
「猪狩くんのスペースは1階。2階は私が賃貸契約したんだからね」
「しょぼーん」
「うん。クローゼットの中に入れておいて」
「りょーかいっ!」
3日前まで雨が降っていて天気が心配だったけれど、新居への引っ越しの今日は、みごとに晴天。
窓を開けると、心地よい風が部屋に入ってくる。
今までみたいに隣の人から覗かれる心配がない、敷地の広い一軒家。
緑もある住宅街だけれど、吉祥寺駅まで徒歩10分という好立地で、これこそ夢見ていた東京ライフだ。
「これからふたりの生活が始まるね」
キッチンの片づけをしていた私に、背後から猪狩くんが抱きついてきた。
私服になると、とたんに学生みたいに幼くなる。
甘えたがりだし、これで私よりも4つも年上だなんて信じられない。
「べつに、一緒に暮らすわけじゃないでしょ」
「えー、俺、ここに住み込むつもりだけど」
「猪狩くんのスペースは1階。2階は私が賃貸契約したんだからね」
「しょぼーん」