お願い、あと少しだけ
いつものカフェで
いつものカフェで奈緒子と弘樹は待ち合わせていた。2人は会社の同期で、最初は同期6人ほどで会っていたのだが、いつのまにやらそれぞれに彼氏、彼女を作り、残ったのが2人だったのだ。今日、弘樹は奈緒子に言うことがあった。

いつも通り奈緒子は先に来ていて、アイスミルクティーを飲んでいた。約束の時間を10分過ぎて、弘樹が現れた。

「遅くなってごめん!」

「いつものことじゃない」

「あぁ、そうだな」

弘樹は苦笑するとウェイターにカフェオレをオーダーした。

「奈緒子、実は、僕・・・」

「知ってる。栄転でしょ?大阪支店で課長に。おめでとう!」

知ってたか。出来れば、僕の口から知らせたかったな。

「ありがとう。来月頭から大阪だ。こっちにいられるのはあと5日くらいだな。それで・・・」

「サヨナラ、でしょ?」

奈緒子が哀しげに言った。違う、そうじゃない。
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