お願い、あと少しだけ
コスモワールドの大観覧車
「やっと、着いたね。足、疲れたぁ。」
はぁっ、吐息をついて言う奈緒子。
「ヒールとかはいてこなくてよかっただろ?」
くすくす、楽しそうに笑う弘樹。
「うん。歩きやすい靴にしといて、正解!」
目の前には、大観覧車がそびえたっている。時刻は4時半過ぎ、そろそろ陽が暮れてくるころだ。
「行こっか」
弘樹がつないだ右手をぎゅっと握る。今日は土曜日、結構な人が並んでいる。時間的に日没の風景を見たい、と言う人も多いのだろう。
「ホントに、透明のほうじゃなくていいの?」
2つのゴンドラの分岐点まで来て奈緒子が弘樹に問う。
「奈緒子は?乗ってみたい?」
思わず、顔をこわばらせる奈緒子。
「だったら、いいよ。奈緒子が楽しめなきゃ、意味ない」
「ありがとう、弘樹。もう少し勇気が出たら、今度はきっと・・・」
ぷぷっ、と弘樹が笑って、
「いいよ、無理しないで。誰でも苦手なものはあるんだから」
「弘樹は、ホントに優しいね」
真っ赤になる弘樹。奈緒子の、こういうストレートな言葉に弱い。
「奈緒子の為なら、優しくなれるんだよ」
「弘樹・・・うれしい」
2人は見つめあった。
「ごほん」
係員の人が咳払いをした。
「普通のゴンドラでよろしいですね?」
「あ、はい」
気がつけば、次の順番に来ていた。
ゴンドラに乗り込み、2人で景色を見ながら、ゆったりする。
「もうすぐ頂上だね」
弘樹が言う。
「ねぇ・・・大阪って、どっちかな」
奈緒子が尋ねる。
「西だから、太陽の沈む方向?ざっくりと、だけど」
「弘樹は、あの空の向こうに、明日、新幹線で行くんだね」
「ああ」
「そういえば、引っ越しはどうなってるの?最終で行って寝る場所とか大丈夫なの?」
「先週、引っ越しは済ませたんだ。あとは、スポーツバッグひとつでOK。」
「そうなんだ。いよいよ、ってかんじだね」
奈緒子がちょっと悲しげに言った。
「まだ、今日は終わってないし、明日もあるよ。楽しくすごそ、な?」
涙目の奈緒子の頭をやさしくぽん、ぽん、とした弘樹だった。
はぁっ、吐息をついて言う奈緒子。
「ヒールとかはいてこなくてよかっただろ?」
くすくす、楽しそうに笑う弘樹。
「うん。歩きやすい靴にしといて、正解!」
目の前には、大観覧車がそびえたっている。時刻は4時半過ぎ、そろそろ陽が暮れてくるころだ。
「行こっか」
弘樹がつないだ右手をぎゅっと握る。今日は土曜日、結構な人が並んでいる。時間的に日没の風景を見たい、と言う人も多いのだろう。
「ホントに、透明のほうじゃなくていいの?」
2つのゴンドラの分岐点まで来て奈緒子が弘樹に問う。
「奈緒子は?乗ってみたい?」
思わず、顔をこわばらせる奈緒子。
「だったら、いいよ。奈緒子が楽しめなきゃ、意味ない」
「ありがとう、弘樹。もう少し勇気が出たら、今度はきっと・・・」
ぷぷっ、と弘樹が笑って、
「いいよ、無理しないで。誰でも苦手なものはあるんだから」
「弘樹は、ホントに優しいね」
真っ赤になる弘樹。奈緒子の、こういうストレートな言葉に弱い。
「奈緒子の為なら、優しくなれるんだよ」
「弘樹・・・うれしい」
2人は見つめあった。
「ごほん」
係員の人が咳払いをした。
「普通のゴンドラでよろしいですね?」
「あ、はい」
気がつけば、次の順番に来ていた。
ゴンドラに乗り込み、2人で景色を見ながら、ゆったりする。
「もうすぐ頂上だね」
弘樹が言う。
「ねぇ・・・大阪って、どっちかな」
奈緒子が尋ねる。
「西だから、太陽の沈む方向?ざっくりと、だけど」
「弘樹は、あの空の向こうに、明日、新幹線で行くんだね」
「ああ」
「そういえば、引っ越しはどうなってるの?最終で行って寝る場所とか大丈夫なの?」
「先週、引っ越しは済ませたんだ。あとは、スポーツバッグひとつでOK。」
「そうなんだ。いよいよ、ってかんじだね」
奈緒子がちょっと悲しげに言った。
「まだ、今日は終わってないし、明日もあるよ。楽しくすごそ、な?」
涙目の奈緒子の頭をやさしくぽん、ぽん、とした弘樹だった。