お願い、あと少しだけ
同僚以上
「これからも・・・僕と会ってくれないかな。離れ離れにはなっちゃうけど、新幹線使えばすぐだし。いつのまにか、君は僕の中で大切な存在になっていたんだ」

「弘樹・・・私も弘樹が好きよ」

「すごい、嬉しいよ」

無邪気に喜ぶ弘樹が愛しい。

「多分、月に二度は帰ってこれると思う。そしたら、僕とデートしてくれないか?」

奈緒子は目に涙をためていた。

「弘樹が遠くに行っちゃうのはすごく淋しいけど、やっと恋人になれたんだね、私たち」

「ああ・・・やっと、だな。何で今までこの気持ちに気づかなかったんだろう。近すぎて、当たり前すぎて・・・」

奈緒子にもう会えなくなる、と思ったら・・・。

「私もよ」

弘樹はカフェオレを飲み干すと、

「とりあえず、今日は夕食デートにしますか。行こう」

と言って、奈緒子を促した。
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