お願い、あと少しだけ
亜由と奈由美が来てくれて
奈緒子は、呆然としていた。弘樹が、ついに行ってしまったのだ。来週、会えるけど、でも・・・このところの「濃い」時間を思い出すと、切なくなる。
「・・・ナコっ!」
後ろから、声をかけられた。え・・・亜由、奈由美?
「ヒロから、もしかしたらまだ、新幹線のホームにいるんじゃないか、ってLINE来て。ナコ、弘樹からのメッセージに答えなかったんだって?」
・・・えっ?スマホをチェックすると、弘樹からの、【送ってやれなくてごめんな。気を付けて帰れよ】ってメッセージ。既読にもならなかったから、弘樹、心配したんだろう。
「私たちが、送って帰るよ。とりあえず、ナコ、ヒロに返信して」
【返事、出せなくてごめん。ぼーっとしてた。亜由と奈由美が来てくれたから、送ってもらう】
【よかった。心配したんだぞ、気を付けて帰れよ。こっちは、今、小田原を出たとこ】
【心配かけてごめんね。家に着いたら、LINEするね】
【分かった。奈緒子・・・愛してる】
【私も】
「亜由、奈由美、ホントに送ってもらっちゃっていいの?」
「もちろんです、姫。王子から、姫のこと頼まれてますから」
奈由美が茶目っ気たっぷりに笑顔で言い、亜由も微笑んだ。
奈由美と亜由は二子玉川で2人暮らしをしている。奈緒子は、駅まででいいよ、と言ったのだが、家まで送るといって引かなかった。
歩きながら、来週、大阪に行くことになったことを報告した。
「そっかぁ。じゃあ、それまで仕事がんばらなきゃだね。王子もがんばってるよ、姫」
と亜由が笑って言った。
「その、王子、姫、とかってどうにかならないの?」
「私たちの大切な仲間だからね。その2人がくっついたんだから、もう、私たち、すっごい嬉しいの。ナコを、姫として、ヒロ王子のために守ろう、ってみんなであのあと話してたのよ」
「・・・私って、そんなに頼りない?」
「・・・って言うより、ナコってモテるから。自覚してないみたいだけど」
奈緒子は、心から驚いた。
「でも私…会社の人から口説かれたことないよ?」
「ナコの鈍感!ナコを見る男どもの視線に気づかないの?そこがナコのいいところでもあり、危なっかしいところでもあり・・・」
奈由美が困ったように笑った。
「だから、私たちがナコを守る。・・・って言うか、『ナコの左薬指、見てごらんなさい』って言えば、一発か」
奈緒子は、左薬指に光るエメラルドを見て微笑んだ。仮の、だけど、婚約指輪なんだ、よね。
そうこうしているうちに。奈緒子のアパートに着いた。
「ありがとう。遅くなっちゃうね?ごめんね?」
「いいよ。いざとなったら、10時半出勤にするから」
亜由が笑った。奈緒子たちの会社は、そのあたり自由だ。
「ありがとう。じゃあ、おやすみ」
「おやすみぃ」
奈緒子は、自分は本当にいい友達を持ったなぁ、と心から感謝した。
「・・・ナコっ!」
後ろから、声をかけられた。え・・・亜由、奈由美?
「ヒロから、もしかしたらまだ、新幹線のホームにいるんじゃないか、ってLINE来て。ナコ、弘樹からのメッセージに答えなかったんだって?」
・・・えっ?スマホをチェックすると、弘樹からの、【送ってやれなくてごめんな。気を付けて帰れよ】ってメッセージ。既読にもならなかったから、弘樹、心配したんだろう。
「私たちが、送って帰るよ。とりあえず、ナコ、ヒロに返信して」
【返事、出せなくてごめん。ぼーっとしてた。亜由と奈由美が来てくれたから、送ってもらう】
【よかった。心配したんだぞ、気を付けて帰れよ。こっちは、今、小田原を出たとこ】
【心配かけてごめんね。家に着いたら、LINEするね】
【分かった。奈緒子・・・愛してる】
【私も】
「亜由、奈由美、ホントに送ってもらっちゃっていいの?」
「もちろんです、姫。王子から、姫のこと頼まれてますから」
奈由美が茶目っ気たっぷりに笑顔で言い、亜由も微笑んだ。
奈由美と亜由は二子玉川で2人暮らしをしている。奈緒子は、駅まででいいよ、と言ったのだが、家まで送るといって引かなかった。
歩きながら、来週、大阪に行くことになったことを報告した。
「そっかぁ。じゃあ、それまで仕事がんばらなきゃだね。王子もがんばってるよ、姫」
と亜由が笑って言った。
「その、王子、姫、とかってどうにかならないの?」
「私たちの大切な仲間だからね。その2人がくっついたんだから、もう、私たち、すっごい嬉しいの。ナコを、姫として、ヒロ王子のために守ろう、ってみんなであのあと話してたのよ」
「・・・私って、そんなに頼りない?」
「・・・って言うより、ナコってモテるから。自覚してないみたいだけど」
奈緒子は、心から驚いた。
「でも私…会社の人から口説かれたことないよ?」
「ナコの鈍感!ナコを見る男どもの視線に気づかないの?そこがナコのいいところでもあり、危なっかしいところでもあり・・・」
奈由美が困ったように笑った。
「だから、私たちがナコを守る。・・・って言うか、『ナコの左薬指、見てごらんなさい』って言えば、一発か」
奈緒子は、左薬指に光るエメラルドを見て微笑んだ。仮の、だけど、婚約指輪なんだ、よね。
そうこうしているうちに。奈緒子のアパートに着いた。
「ありがとう。遅くなっちゃうね?ごめんね?」
「いいよ。いざとなったら、10時半出勤にするから」
亜由が笑った。奈緒子たちの会社は、そのあたり自由だ。
「ありがとう。じゃあ、おやすみ」
「おやすみぃ」
奈緒子は、自分は本当にいい友達を持ったなぁ、と心から感謝した。