お願い、あと少しだけ
「奈緒子には、そんな人、いるの?」

「ん~、私、あんまり恋愛運いいほうじゃなかったからなぁ」

奈緒子が苦笑する。

「ま、それはそれで。明日、大阪支店に来るんだよな?直行直帰で」

「うん。秘書課で顔合わせして、ちょっとオリエンテーションみたいなのをしてもらうみたい。秘書なんて、したことないから、イチから叩き込んでもらう」

「気合入ってんね、奈緒子。顔合わせは、2時から?」

「よく知ってるね」

「部長情報。ちょっと朝早起きして、12時前に新大阪、着ける?」

奈緒子がぱっと顔を輝かせた。

「お昼、一緒に出来そう?」

「ああ。オフィス、新大阪からすぐだから、どこかで外食しよう」

奈緒子とランチできるのが楽しみだ。適当なお店を今のうちにリサーチしておこう。

「楽しみ!!大阪っておいしいもの、多そうだよね」

「どんなものがいい?」

「う~ん、ササっと食べられる、麺とかカレーとか」

「探しておくよ。奈緒子、辛いものも、OKだよね」

中華街で実証済みだ。

「激辛、でなければね」

奈緒子が笑顔で答えた。

「残業もないだろうから、早めの夕食も一緒にしような」

「うんっ♪」

奈緒子が、弘樹の愛する満面の笑みで答えた。

もう少し待てば、奈緒子と毎日一緒にいられる日々が待っている。そう思うと弘樹も笑みが止まらないのだった。
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