お願い、あと少しだけ
同期に報告
「えっっ!弘樹が昼休みに全員集合、って言うから、何かと思ったら・・・」

心からびっくりしている感じの2人の同僚の尚斗。そして、勇樹、亜由、奈由美。

「う~ん。やっぱ、みんなには、報告しとかなくちゃかな、って思って」

奈緒子の肩を愛おしげにだきながら、弘樹が言う。

「ねぇ、ねぇ、ナコ、どんな風に告白されたの?」

亜由が興味深げに聞いてくる。

「えっと・・・」

戸惑う奈緒子に弘樹が、

「そういうのは、内緒。とりあえず、やっと、2人が付き合うことになりました。遅くなったけど、僕の気持ちが通じてよかった」

「なんだかんだで、同期同士でくっついたの、お前らだけだな。離れ離れになっても、うまくやれよ」

勇樹が感慨深い感じで言う。

「どのくらいの頻度で帰ってこれるの?ナコをほっぽらかしにしないのよ!」

奈由美は、本当に心配してくれているんだろう。奈緒子は感謝した。

「毎週帰ってきたいところだけど・・・2週に1回くらいは帰るよ」

「ナコに悪い虫がつかないように、私たちが見張ってるから、安心してね。ヒロも浮気しないのよ!」

「分かってるよ。奈緒子を大切にする」

弘樹は奈緒子をまっすぐに見つめて言った。信じていいんだよね、弘樹。

始業の鐘まで、あと5分。それぞれの部に戻る時間だ。

「弘樹、これからずっと残業続き?」

奈緒子が気遣うように問いかける。

「そうだな。引継ぎとかいろいろ・・・新しい仕事も向こうから入ってきてるし」

「そっか。でも、土日はだいじょうぶだよね?」

「死守するよ!そのためにも頑張る!」

「頑張りすぎないでね。じゃあ、夜にメッセージするね」

「ああ」

本当に、弘樹は行ってしまうんだね。なんだか、実感として、胸にすとんときた奈緒子だった。
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