お願い、あと少しだけ

土曜の梅田デート

シャワーを浴びて、服を着てひと息ついて弘樹が言った。

「ごめん、朝食を・・・と思っても、材料もないし調理器具も皿も無いんだ。朝から外食になっちゃうけど、いい?」

「コーヒーは飲めるよね?」

「カップドリップのコーヒーになっちゃうけど。ポーションミルクと砂糖も買ってあるよ。ペアのカップだけは、先に買っておいたんだ」

弘樹は、濃紺のとピンクの白水玉のペアカップを見せる。

「じゃ、ゆっくりコーヒーを飲んでから、どこかにブランチに行きましょう。お勧めのカフェとか・・・知らないよね?」

弘樹はこちらに赴任してきたばかりだ。

「あぁ・・・梅田のあたりをぶらりとしてみる?」

「うん。鍋とかフライパン、お皿も買いたいしいいかも」

スマホで梅田の雑貨店を検索すると、結構たくさんあった。カフェも検索してみる。2人で3軒ほど候補を挙げてみる。

「ほい、コーヒー。奈緒子はポーション2つに、砂糖だよね。ホント、甘党」

くすくす。弘樹が本当に可笑しそうに笑う。

「弘樹だって、ミルク入れるでしょ!」

むきになって言い返す奈緒子。2人で笑い合う。

時計を見ると11時を過ぎている。奈緒子といると本当に時間が過ぎるのが早い、と弘樹は思う。きっと奈緒子も同じ気持ちだろう。

コーヒーを飲み終わってからアパートを出て、上新庄駅に向かって手をつないで歩きだした。

「大阪梅田まで、準急で20分くらいだから、12時前には着くかな」

「そうなの?割と便利な立地なんだね」

「うん」

大阪支社も梅田だから、通勤も割と楽でいい。奈緒子と一緒に暮らすにもいいアパートだと弘樹は思った。





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