ちよ先輩のてのひらの上。
背後から聞き慣れた声に呼ばれて、私は飛び上がった。
ギギギ、と壊れたロボットのように振り返ると、後輩らしき生徒を連れたお兄ちゃんが手を振りながら歩いてくるところだった。
「あ、……生徒会長さんだっ」
真白ちゃんが、ポッと頬を染めた。私の周りにいた新入生の視線も、お兄ちゃんたちへと集まる。
「お前、朝はどうしたんだよ。一緒に来ようと思ってたのに」
「……」
「へえ、この子が会長の妹さん?可愛いっすね」
「だろ?……あ、おい、こらっ。あんま近づくなよな」
「えー、会長のケチ〜」
真白ちゃんが、驚いたようにわたしを見た。
「生徒会長さん、ひなたちゃんのお兄ちゃんだったんだあ」
……私は、今にも泣き出したい思いだった。
「……真白ちゃん」
「ん?」
お兄ちゃんたちに囲まれながら、私は顔を歪ませて情けない声を上げた。
「……お願いだから、友達やめないで……」
「……え?」
どうやら私のミッションは、大失敗に終わってしまったようだった。