ちよ先輩のてのひらの上。


突然の言葉に、私は驚いたように紺野くんを見た。

すぐに頭をよぎるのは、例の写真のこと。

……どうして……。


問いかけの意味を探るように、視線を送る。

紺野くんは少し迷うような素ぶりを見せてから、口を開いた。


「結城さん……今、わりと嫉妬の対象だから」

「……嫉妬?」


私はきょとんとした。


「最近、副会長とよく一緒にいるでしょ。……あの人、すでに1年の女子の中でもすごい人気みたいだよ」


予想していたものとは違った内容に、私は小さく息をのんだ。


「それに……。上の学年では、思わせぶりな態度をとられて泣かされた子がいるって噂も聞くし」

「……」

「まだ、何も起きてないならいいんだけど。……気をつけたほうがいいよ。色々手遅れになる前に……離れたほうがいいと思う」

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