ちよ先輩のてのひらの上。
「ゆ、結城先輩」
「思ったより早く終われてさ。……今、なんかふたりで踊ってた?」
「……踊ってないです……」
今度は、真白ちゃんの顔が真っ赤になる番だった。
お兄ちゃんは不思議そうに瞬いてから、私を見る。
「ちよは、まだ作業が残ってるらしいから。ひなたはまた、生徒会室で待ってろよ」
「……あ、……うんっ」
きゅ、と胸のあたりが疼いた。
何かを期待するような心地が膨らんでいく。
それを必死に外に出さないように、私は荷物を持って、ふたりと一緒に教室を後にした。
真白ちゃんとお兄ちゃんと2階で別れ、生徒会室へと向かう。
扉をノックすると、はーい、という声がして、すぐに扉が開かれた。
「お、ひなたちゃん」
「……あ。お疲れ様です……」
顔を見せたのは、ちよ先輩ではなく安川先輩だった。
その後ろで、プリントを整理していたちよ先輩がこちらを見る。
「ごめんね。すぐに片付けるから、もう少し待っててくれる?」
「……全然、大丈夫です……」