ちよ先輩のてのひらの上。
生徒会室での出会い
「おい、ひなた。なに怒ってるんだよ」
「……知らないっ」
追いかけてくる戸惑った声に、私はふいっと顔を背けた。
まるで私たちを見送るかのように門までずらりと並んでいる満開の桜の下を、スタスタと先へ進む。
「ったく、なんだよ。教科書重いだろうと思って、せっかく……」
ブツブツと文句を言いながらも、お兄ちゃんは受け取ったばかりの教材が入った袋を、私からヒョイと奪い取った。
どうやら家まで代わりに持ってくれるみたいだ。
「重っ」と小さくこぼし、私の隣を覗き込む。
「……えっと、なにちゃん?」
「……柳瀬、真白です……」
「真白ちゃんね。……それ、重いだろ。持つよ」