ちよ先輩のてのひらの上。


触れられている手を、やけに熱く感じる。

私は、大人しくこくりと頷いた。

その裏側で、どうしてちよ先輩がそんなことを決めるんだろう、とぼんやりと思った。

けれど、それを嬉しく感じてしまっている自分もいた。


「ちよ先輩……。だんだんそら先輩に似てきてますよ……」

「……。それはあんまり、嬉しくないね」


安川先輩の言葉に、ちよ先輩が苦い顔をする。

けれど、すぐに立ち直ったように、


「んー、でもさ」


近くの机に手をついて、私を覗き込むように背中を丸めて。ちよ先輩は爽やかな笑顔を浮かべた。


「ひなちゃんは、俺にならこういうこと言われても、嫌じゃないでしょ?」

「え……」

「そらのことは、嫌がってるみたいだけど」


ただ重なっていただけの手に、優しく力が込められる。

「ね?」と同意を求められて——。

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