ちよ先輩のてのひらの上。

気づいたキモチ



昼休みを告げるチャイムが鳴ると、私と真白ちゃんはお弁当を持って教室を出た。階段で、2階へと降りる。

3年生の教室が並ぶこのフロアを歩くことは、初めの頃こそは緊張したけれど、もうすっかり慣れっこだ。

生徒会室に行く前に、真白ちゃんがトイレに寄りたいと言ったので、私は荷物を預かって入り口近くの廊下に寄りかかった。


莉子(りこ)ー、櫛貸して」


トイレの中からは、女子生徒の話し声が聞こえてくる。


「そういえば、最近どうなの?」

「んー……。なんか、うまくかわされてる感じがする」

「そうなんだ」

「友達の期間が長すぎて、どうしたらいいかわかんないんだ」

「莉子と千代崎くん、1年の頃から仲よかったもんねえ」


私は、無意識の内に息を詰めた。

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