ちよ先輩のてのひらの上。
爽やかな笑顔を向けて手を差し出すお兄ちゃんに、真白ちゃんは顔を真っ赤にさせてブンブンと首を振った。
「い、いやいや!大丈夫ですっ。こんな、へっちゃらです!」
「まじ?力持ちだな」
すげー、なんてヘラついている顔を見上げ、私は呆れた目を向けた。
真白ちゃんが早速、お兄ちゃんへ憧れの眼差しを送ってしまっている。
——ほら……。
だから、そういうところが問題なんだってば……。
もう少しモテない努力とやらをして欲しいよ。なんて、他の人が聞いたらブラコンだと勘違いされてしまいそうな内容の文句を心の中で垂れた。
そんな私の気持ちになんて全く気づかないお兄ちゃんは、
「——そうそう」
思い出した、というように、ポケットを漁り出した。