ちよ先輩のてのひらの上。
「だいぶ楽になりました」
「……よかった」
ちよ先輩が、ベッドの端にゆっくりと腰を下ろした。
すぐに戻るつもりではないことがわかって、胸が喜ぶように弾む。
「熱は——」
ちよ先輩の手がこちらに伸びて、……その甲が、私の首筋に触れた。
「ないみたいだね」
「……はい」
「……あれ。でも、なんか熱くなってきた」
「……」
……先輩が、触るからだもん……。
恥ずかしくなって、私はちよ先輩の手から逃れた。
「ほんとに……もう、大丈夫ですから……」
そっと押しやると、先輩は自分の手と私を見比べる。
「……今日は、触られるの、嫌?」
拒否されたことが、気になったようだった。
少し不満げな問いかけに、私は言葉に詰まってしまう。